うねる丘とどこまでも続く牧場。
この辺りはしばらく自由乗降区間となり
好きな場所で乗り降りできるのですが、
誰一人として乗り降りする人はいません。
釧路駅前から90分。共春バス停に到着。
特に乗り降りはありませんでしたが、
ひたすら牧場すぎてウトウトしていたので
久しぶりにしっかりとバス停に停車して
ようやく目が覚めました。
この共春バス停は国道272号と243号が交差し
釧路・中標津・弟子屈・別海へ
相互アクセスするための交通の要所となっています。
※別海、弟子屈方面へのバス路線はありません
しばらく中標津の街を走ります。
近距離での利用者も多く、
こまめな乗車・下車が続きました。
ドン・キホーテに吸収合併されて以降、
すっかり珍しくなった長崎屋がありました。
バスは7人の乗客を乗せて出発。
運転席のすぐ後ろに座りました。
運転手さんの陰からですが、少しだけ前方展望を楽しめます。
いよいよ野付半島へと入ります。
乗客は7名全員がひとり旅。
不思議な静寂を乗せ、ひたすら一本道を進んでいきます。
右側に広がるのは野付湾です。
そして左側に広がるのは太平洋。
両側に海を眺めながら、
そこに延々と道が続いているというのは
本当に不思議な感覚です。
ここで標津町から別海町へと移ります。
トドワラは別海町にあったんですね。
最初に現れたのはトドワラではなくナナワラ。
トドワラはトドマツが枯れたものですが
ナナワラはミズナラが枯れたもの。
ナナワラの風景は、バスの車窓からしか
見ることができませんでしたが
立ち枯れた木々が湿地帯に広がり、
この世の果てを感じさせる異様な風景でした。
トドワラ、ナナワラともに、
年月の経過とともに風化が進み、
以前のような立ち枯れた木が並ぶ風景は
年々見られる場所が少なくなっているそうです。
上高地の大正池の様と同じような感じですね。
この辺りもナナワラがあったのでしょうか。
間もなくトドワラに到着します。
トドワラのバス停に到着。
ここで全員バスを降りました。
このバスは来た道を戻り、
尾岱沼の先、白鳥台というところまで行きます。
我々はここから尾岱沼まで船で移動し、
白鳥台からやってくる標津ゆきのバスで
標津へ戻るということになります。
ここから国後島まではわずか16km。
これだけ近いと見える日の方が多そうですが
今日は晴れているのに視界が悪く、
どんだけよ~く目を凝らしてみても
国後島を見ることはできませんでした。
一度は来てみたかった憧れの野付半島へやってきました。
この日本の果て感がたまらないです。
「トドワラ」バス停の目の前には
野付半島ネイチャーセンターがあり、
野付半島の情報を入手したり、
食事や買い物なども楽しむことができます。
ただ、今回の周遊バスプランでは
次の経由地である遊覧船乗り場まで
2.5kmの距離を50分で歩き切る必要があり
その間にトドワラ見物も含まれるので
ひとまず先を急ぐことにしました。
「はまなす号」という観光トラクターが
30分に1本運行されています。(500円)
これに乗ると、トドワラの入口まで
1.5kmを10分ほどで行くことができ、
だいぶ時間短縮になるようです。
が…満席なので、全区間歩くことが確定。
トラクターの走る道とほぼ並行して
「トド原探勝線歩道」という遊歩道があります。
この辺りは野付半島原生花園。
こんな感じの道を1.5kmほど歩いていきます。
野付半島の地形はとても複雑ですが
植生もかなり変化に富んでいます。
本州では高山にあるような植物が
こうして海抜0m地帯に自生しているのも
この地が非常に寒冷で厳しい環境にあることを物語っています。
どんどん先へ進みます。
トドワラまであと1km。
道が狭いのですれ違いや追い越しは譲り合って。
エゾフウロ
エゾツルキンバイ
原生花園にはこの他にも様々な花が咲いています。
トラクターが戻ってきました。
野付半島原生花園を歩き切り、
トドワラの入口に到着です。
花を見ながら歩いてきたので、
1.5kmを25分ほど掛かりました。
ここからトドワラの木道へ。
木道はかなりきれいに整備されていましたが
スタート地点あたりは何もありません。
5分ほど歩き、木道の先端へ。
ようやくトドワラの姿がありました。
僅かに残ったトドワラ。
この風景が見られるのも、残りわずかと言われています。
晴れていても吹き抜ける風は冷たく、
本当に北海道でも果ての果て、
遠くまで来たんだなぁと感じる風景です。
トドワラのスケールは、以前よりも
かなり小さくなっているんだと思いますが
人生初のトドワラだったので、
少しでも残っているうちに
この目で見ることができて良かったです。
木道を歩いて、遊覧船乗り場へ向かいます。
この辺りは手すりもあって
少し木道の幅も広くなっているようです。
それにしてもトドワラが全くない…。
木道は途中で終わり、
石で両側を支えられた道を進んでいきます。
道が草で覆われて歩きにくくなったので
砂浜に下りて歩いてみました。
遊覧船が先端に見えてきました。
貝がびっしりと足元に生息していて
歩くたびに水がぴょんぴょん飛び出します。
遊覧船乗り場へ無事に到着。
なんとか出航5分前に着くことができました。
何人がこの船に乗るのかは
事前にバス会社から連絡が行っているようで
船に近付いていくとすぐに係の人が
声をかけてくれました。
到着順位は7人中3番目。
最後の2名はダッシュで乗り込み、
何とか間に合いました(笑)
特に連絡先などを共有してないので
間に合わなかった場合はどうするのかは気になるところです。
船は尾岱沼(おだいとう)へ向けて出航。
遊覧船というよりはモーターボード感覚。
フルスピードで野付湾を進んでいきます。
風が冷たくてめっちゃ気持ちいい~。
野付湾は水深がとても浅いので
船が乗り上げないよう、旗があちこちに浮いています。
船はその間を縫うように航行します。
突然、モーター音が止まりました。
「前方にアザラシいます~」とのことで、
視線をそちらに向けると、、、
野生のゴマちゃんに会えました。
この後もアザラシが現れるたびに
船はエンジンを緩め、
乗客を楽しませてくれます。
30分ほどの航行を終え、尾岱沼港へ入ってきました。
接岸する直前に一気に空気が変わり、驚くほど暑くなりました。
野付半島は年々少しずつ浸食が進み、
温暖化による海水面上昇の影響もあって
あと50年ほどで消滅してしまうとも言われているのだそう。
次回ここを訪れるのはいつになるか分からないけど、
その時はどんな景色になってるのかな。
尾岱沼港に入港です。
港では尾岱沼名物の北海しまえびが販売されていました。
ちょっと一口食べてみたかったけど
1パックがデカすぎて断念。。。
尾岱沼のバス停から標津に戻ってきました。
標津では釧路方面に戻るバスまで
25分ほど余裕があったので
バスターミナルから3分ほどの場所にある
旧標津線の跡地へ行ってみました。
標津線は、標茶から標津までと、
中標津から厚床までを結んでいた路線。
そんな場所に鉄道が走っていたなんて
今となっては信じられない感じがしますが
廃止されたのは1989年(平成元年)のことです。
自分が小学校に入った頃は
まだ現役で釧網本線の標茶駅から
ここまで鉄道で来れてたんだなぁ。
当時走っていたSLの車体と、
向きを変えるための転車台が展示されていました。
今日は中標津へ宿泊するので、
釧路行きのバスで中標津まで乗車しました。
標津線が走っていた頃の路線図も合わせて貼っておきます。
コメント
トドワラ号今年運行されれば乗りたいと思っているのですが、お昼食べる時間無いですか?
はい、土休日ダイヤの場合、お昼を食べる時間はなく、とにかく忙しかったです。
標津バスターミナルまで戻ってきてから、近くのセコマで買い物して食べました。
尾岱沼港で20分ほどありますので、北海シマエビを少し食べたりすることはできそうです!
お返事ありがとうございます。
参考にさせていただきます!