私は旅行が大好きなのに、いまだに行ったことのない場所が山ほどある。
それは同じところに何度も何度も繰り返し行くのが好きだからだ。
札幌や函館、帯広なんかがそう。その街に暮らすように過ごし、
地元の人々の生活をちょっとだけ垣間見るのが好きなのだ。
でも、たまにはフレッシュな気持ちで「るるぶ情報誌」とか見ながら、
いわゆる王道な観光を体験しておきたいという気持ちもある。
今はコロナ禍で日本を代表する観光地はどこもガラガラで、
交通機関も宿泊施設も安いし、賑やかなインバウンドもいない。
なら、今こそそういう場所を巡ってみよう!
ということで今回の目的地に設定したのが「白川郷」と「五箇山」だ。
いずれも世界遺産に登録された、泣く子も黙る超メジャースポットだが、
個人的には41年も生きてきて一度も訪れたことがない。
今回はそんな超メジャースポットを、初々しい気持ちで観光してきた。
「見どころはそこじゃねーよ!」という突っ込みも是非お待ちしています(笑)
5時48分発の武蔵野線で東京を脱出。
空はまだうっすらとも明るさを見せていなかった。
30分ほどで武蔵浦和に到着した。
埼京線に乗り換えるために、6番ホームへ向かう。
以前はここで快速と普通が緩急接続してたけど、
ダイヤ改正後は武蔵浦和~大宮間がぜんぶ各停になって本数も減った。
個人的には大宮が遠くなっちゃったけど、
京浜東北線も南浦和~大宮間の本数が少ないことを思えば妥当かな。
海老名行きは相変わらず見慣れない表示だ。
埼京線の大宮行きがホームに滑り込んできた。
空も少しずつ明るくなってきた。
6時38分に大宮駅に到着。
15分ほどの待ち時間の間に、NewDaysで温かい珈琲を買い込んだ。
乗車するのは6時53分発の「はくたか551号」金沢行きだ。
後続はガーラ湯沢ゆきの「たにがわ」が連発していて、
GALA湯沢をはじめとした新潟エリアのスキー場の集客力の高さを物語っている。
「はくたか551号」が入線してきた。
今回は五箇山・白川郷への玄関口、新高岡駅を目指す。
「えきねっとトクだ値」の30%割引を利用して、
大宮から新高岡までの運賃は8,780円だった。
車内は意外にもほぼ満席。
まん防とは…自分も含めてだけど、状況を自分で判断して、
すでに普段通りの行動を再開している人が想像以上に多いことが分かった。
これは良い傾向だ。
そして、自分の隣には大きなスノーボード板が鎮座している(笑)
この車内にいる、誰かの荷物なのだろう。
通路に出るにはいささか邪魔ではあるものの、
この混雑した車内では、気を遣う人間よりも、物言わぬ板の方がずっとありがたい。
鴻巣市付近からは左手正面に富士山が見えた。
上越新幹線が北ではなく、かなり西寄りへ進路を取っていることを実感する。
高崎を通過すると、浅間山が見えてきた。
碓氷峠を軽々と越えて軽井沢へ。
雪は少ないけど、この辺りの標高は900mを超えている。
山肌の木々は霧氷で真っ白になっていた。
軽井沢から先、「はくたか551号」は各駅停車で進んでいく。
トンネルを抜けるたび、一瞬見える白い景色が美しい。
上田駅付近では千曲川が見えた。
この辺りまで来ると、雪がほぼなくなり、
標高がだいぶ下がってきたことを実感する。
雪が消えたのも束の間、長野市内に入ったあたりで、
再び雪景色が広がってきた。
傾斜地にびっしりと立ち並ぶ住宅。屋根はうっすらと白くなっていた。
大宮から1時間10分ほどで長野に到着。
「かがやき」も停車する大きな駅だが、意外にも車内の人は減らなかった。
相変わらず、私の隣の板も鎮座し続けている。
長野を出発すると、急激に天候が変わるのが分かった。
吹雪模様になり、みるみるうちに積雪が増えていく。
この辺りが雪国と非雪国を分ける分水嶺になるのかな。
トンネルを抜けると、もうそこは完全な雪国だった。
飯山駅に到着する直前、千曲川をゆっくりと渡った。
遠くの景色はほとんど見えなかった。
つい25分前に上田で見たのと、同じ川とは思えない風景だ。
長野から11分で飯山駅に到着した。
驚くべきことに、飯山駅では続々と乗客が降りていく。
飯山駅のホームは新幹線を降りた人たちで一杯に。
自分の隣にずっと鎮座していたスノーボード板も、
隣の3列席に座っていた若者グループについに回収され、飯山で降りて行った。
皆の目的地は野沢温泉スキー場なのだろうか。
新幹線の開業効果とはなんと凄まじいものだと思い知らされる光景だった。
飯山駅で8割以上の乗客が下車したため、車内は一気に閑散となった。
上越妙高を過ぎると、いよいよ日本海に出る。
糸魚川周辺は吹雪模様だった。
鉛色の空と海が見せる、日本海側特有の情景がたまらない。
糸魚川駅からは駅名票がJR西日本カラーのブルーに変わる。
黒部宇奈月温泉駅付近の風景。
雪は止み、立山連峰の姿を少しだけ見ることができた。
昨年秋、ここで新幹線を降りて宇奈月温泉に宿泊し、
黒部峡谷トロッコ電車に乗ったのはまだ記憶に新しい。
黒部宇奈月温泉駅から先の区間は、個人的には初めて乗車する区間だ。
車窓の左手には立山連峰が広がる一方、右手には日本海の風景が続いている。
どちらも甲乙捨てがたい風景で、思わずキョロキョロしてしまった。
だいぶ家の数が多くなってきた。
富山の大きな市街地の中に、新幹線が吸い込まれていく。
大宮から2時間17分。富山に到着した。
首都圏からは「かがやき」の方が圧倒的に早いため、
富山で下車する人の数はまばらだったが、ここは完全に北陸の経済圏。
自由席の車両には金沢方面へ向かう乗客が大量に乗り込んでいた。
富山=新高岡=金沢間には「つるぎ」という新幹線が別にあることからも、
区間利用がかなり多いことが読み取れる。
富山を出発すると、およそ8分で新高岡に到着。
今日はここで北陸新幹線を降りる。
残った珈琲をぐいっと飲み干して、降りる支度を始めた。
9時19分、新高岡駅に到着。
大宮から2時間26分の長旅であったが、
非雪国から雪国へと移り行く車窓の変化はやはり素晴らしい。
新高岡駅からは、いよいよ世界遺産 五箇山を目指して出発だ。
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