大館駅を出発すると、すぐに奥羽本線の線路と分かれていく。
向こうに停車しているのは奥羽本線を走る701系だ。
車内は1ボックスにつき1組という感じで、
ローカル線の旅をするには程よい混雑具合だ。
弘前駅にあるA-FACTORYの姉妹店「BRICK A-FACTORY」で購入してきた、
アップルパイと珈琲をいただくことに。
すでに秋田県に入ってしまったものの、
雪景色をのんびり眺めながら食べるアップルパイは、やっぱり美味しい。
大館から5分ほどで東大館駅に到着。大館の繁華街へはこちらが最寄り駅とのこと。
現在は無人駅のようだが、有人駅としての名残があり、
ローカル線の無人駅としてはかなり立派な駅舎だ。
東大館駅からは、3人ほどが乗り込んできた。
東大館駅を出発すると、米代川を渡る。
花輪線は緩やかに流れるこの米代川に沿って、山合いを縫って進んでいく。
扇田駅。
まだ大館市街地の一部という感じで、駅前には大きな建物が見える。
扇田を過ぎても、市街地が完全に切れるわけではなく、
米代川に沿って小規模な集落が続く。
どの駅も必ず乗り降りのどちらかはあるという感じで、
細々とではあるものの、地元民の利用も少なからずあるようだ。
十二所駅。駅舎はかなり新しいものだった。
ここでも3人が下車していった。
少しずつ乗客の数は減り、反対側に座っていたお婆ちゃんも下車。
両側には美しい里山の風景が広がった。
土深井駅からは、鹿角(かづの)市へと入ってくる。
米代川がぎりぎりまで近づいてくると、スイッチバックの駅「十和田南」が近い。
大館駅から37分、十和田南駅に到着した。
ここは平地では珍しいスイッチバックの駅。
なぜスイッチバックになっているのかというと、
昔、この北にある小坂町へと線路が延伸する計画があったのだそう。
しかし、大館から小坂町へと延びていた小坂鉄道が廃止になり、
この延伸計画も完全にお蔵入りとなってしまった。
十和田南駅は有人駅。
列車を見送る長靴姿の駅員さんの姿がとてもカッコよく見えた。
進行方向を変えて、十和田南駅を出発。
先ほど走ってきた線路が右手に離れていった。
十和田南駅から2駅で沿線最大の駅、鹿角花輪駅に到着。
こちらも駅員さんがいる立派な駅だ。そしてツララが圧巻!
鹿角花輪では列車行き違いのため4分ほど停車。
十和田南でも5分停車したので、この辺りは小休止を繰り返しながら、
だいぶゆっくりと進む感じだ。
大館行きが入線してきて、こちらも出発。
鹿角花輪を出発すると、まもなく雪が降りはじめた。
八幡平駅に停車。
花輪線には岩手県側にも「松尾八幡平」という駅がある。
「はちまんたい」という読みは、初見ではなかなか難しいだろう。
八幡平駅を出発すると、いよいよ次が下車駅の湯瀬温泉だ。
車窓はここから一気に山間部へと入り、急峻な山が両側から迫ってきた。
眼下に見える川も一部凍っている。
線路の上を走るのは東北自動車道だ。
八幡平駅から山間部を走ること5分、湯瀬温泉駅に到着。
湯瀬温泉駅では、ここまでで一番多い7人が下車した。
湯瀬温泉駅では行き違いもないため、列車はすぐさま出発。
レールから微かに聴こえてくる列車の音に耳を澄ませた。
有人駅だった時代を彷彿とさせる駅舎。
今回が初来訪だけど、駅員さんがいる時代にも訪れてみたかった。
湯瀬温泉駅の時刻表。上下ともに1日6本ずつと極めて少ない。
9時~11時、15時~17時台は3時間以上に渡って上下1本もないという…。
次にここに列車がやってくるのは3時間半以上先だ。
踏切を渡って、今夜の宿である「湯瀬ホテル」へと向かう。
線路の向こうには、誰もいなくなった駅のホームが物悲しげに佇んでいた。
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